瀧澤 美奈子 Minako Takizawa
科学ジャーナリスト・科学ライター
日本科学技術ジャーナリスト会議副会長
慶應義塾大学大学院非常勤講師(サイエンスライティング)
青山社中協働隊メンバー
公益財団法人藤原ナチュラルヒストリー振興財団評議員
東京理科大学 理工学部物理学科卒業
お茶の水女子大学 理学研究科物理学専攻修了・修士
物理学、深海、宇宙、医学、科学史などの分野で、単行本のほか雑誌、新聞、Webメディアに執筆。
政府の審議会委員などの公職(2023年9月現在)
内閣府日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会委員、農林水産省農林水産技術会議委員、文部科学省国立研究開発法人審議会臨時委員、地震研究推進本部委員、南極地球観測統合推進本部委員、日本学術振興会有識者会合委員、日本学術会議外部評価委員会委員、富岳選定委員会委員、理化学研究所倫理審査委員会委員、極地研究所広報委員会委員、産業総合研究所自己評価検証委員会委員、ムーンショット研究アドバイザリーボード委員、国民生活センター有識者懇談会委員、海洋政策研究所編集委員、山形県科学技術会議委員(順不同)など。
History
長野県小諸市に生まれ育ち、自然や宇宙、そして命への興味を育みました。
父親が運転する幌付きのトラックの暗い荷台の中に乗ったとき、
外の景色が映画のように、しかし逆さまに映し出される(※)のに気づいたときの大きな驚き。
発泡スチロールに黒のマジックペンで描いた線の上を、
虫眼鏡で集めた太陽の光がなぞるように焼いていく不思議。
凍りついた小川で、水しぶきが一晩かけて作ったゴツゴツとした氷の形の美しさ。
息の強さを変えるだけで倍音が切り替わるフルート。
茜色の西の空からピンク、パープルへと続く大空の壮大なグラデーション。
手袋のうえに落ちた、一つとして同じ形のない雪の結晶を、ずっと見ていても飽きないこと。
野の草花にはたくさんの種類がある不思議。
満天の星空を見上げていたら、自分の悩みがとてもちっぽけに思えてきたこと、など。
この世界には、人が作るようなちっぽけなものではない、
「とてつもなくすごい法則」が隠されていると感じていました。
※:幌には小さな穴が空いていて、「ピンホールカメラ」の原理で、外の景色が反対側の内壁に逆さまに映し出されていたのでした。
高校卒業後は、迷わず物理学を学ぶため、東京理科大学理工学部物理学科に入学。
卒業研究では盛永篤郎先生のもと、光(レーザー)で原子を精密に操作する実験に携わり、応用光学の素晴らしさに触れ、先輩・仲間との充実した時間を過ごす。一方で子どもの頃からの宇宙への憧れがやみがたく、宇宙研究の研究室がある(当時理科大の理工にはなかった)お茶の水女子大学大学院に進み、早稲田大学理工学部助手(当時)の坂井伸之さんに師事し宇宙背景放射について研究を重ねる。
卒業後の進路は悩んだ末に、社会に出ることに決め、大手IT企業に就職。
会社勤めのかたわらパソコン雑誌に寄稿し、文章やコンテンツ制作の面白さに目覚めて独立(今思えば大企業向きではなかったのかも)。自然科学への思いが残っていたところ、出版社に企画を提出する機会に恵まれ、2002年『科学のニュースが面白いほど分かる本』(中経出版)を刊行。科学分野の書籍としては異例のベストセラーとなった。
2005年4月に有人潜水科学調査船『しんかい6500』に乗船し、相模湾の海底を一日探索し「深海の異世界」に圧倒された。旺文社の『蛍雪時代』へのレポートを皮切りに、『ふしぎナゾ最前線!深海にひめられた地球の真実』(旺文社)、『日本の深海』(ベレ出版)、『深海の不思議』(日本実業出版社)、『日本の深海』(講談社ブルーバックス)を刊行。
この頃から、慶應義塾大学大学院理工学研究科でサイエンスライティングを教えている。
主要メディアの科学記者やテレビの科学番組ディレクター、フリーの科学ライター、企業や大学の広報部門の担当者などが集う日本科学技術ジャーナリスト会議に入会し、「科学と社会の関係性」について考察。
同時に、政府の審議会での議論を通じ、世界における日本の位置や未来に向けた発展についても考えを深める中で、歴史をとおしてものを見る大切さを改めて感じ、2019年『150年前の科学誌NATUREには何が書かれていたのか』(ベレ出版)を刊行。また、その年の暮れにはNHK『日曜討論』で日本の科学技術政策の議論に参加するなど、活動の幅を広げている。